学童保育の保護者対応ってどんなことをするのだろう?大変なのかな?
保護者さんとのコミュニケーションって、どうやって取ったら良いのだろう?ポイントが知りたいな…
学童保育で働く指導員の中には、保護者さんとのコミュニケーションに悩む方もいるでしょう。
かくいう筆者も、保護者さんとの伝え合いは、いまだに苦手意識があります・・・
子どもとのコミュニケーションは得意なんだけどなぁ・・・
そこで今回は、
- 学童指導員歴24年
- 現役の放課後児童支援員
- 学童保育の施設長
豊富なご経験をお持ちの所長(@gattengakudo)さんに、「学童保育の保護者対応」をテーマに、インタビューさせていただきました。
- 学童保育における保護者対応とは?
- 保護者対応は重要ですか?
- 所長さんの失敗談を教えてください
- 保護者対応のポイント
- 保護者対応の具体的な進め方について
保護者さんとの日々の伝え合いで心がけていること、信頼関係の築き方、クレームへの対応等など伺っていきます。
学童で働く指導員さんのヒントになれば、とっても嬉しいです。
ぜひ、最後までお読みいただき、学童保育でお役立てください。
<プロフィール>
40代男性。学童保育歴24年の放課後児童支援員。現在は社会福祉法人の運営する学童保育の施設長をしています。
学童保育に関するさまざまなテーマを発信するブログ「がってん!学童」を運営中です。
- 放課後児童支援員
- 保育士
- 小学校免許一種
はじめに:所長さんの経歴
ーー まず最初に、所長さんの経歴を教えていただけますでしょうか?
承知いたしました
10代
- 大学時代にアルバイトで学童保育とかかわる
- 指導員の仕事のやりがいを感じる
20代
- 大卒後、保護者運営の学童保育所に就職
- 保育士資格取得
- 同施設の指導員と結婚
- 第一子誕生
- 社会福祉法人の運営する学童保育施設に転職
30代
- 3年間のダブルワークを経験
- 通信制の大学に編入、小学校免許取得
- 組合や地域連協の活動で多忙な日々を過ごす
- 前任の退職を機に施設長となる
40代
- 学童OBのすすめによりブログによる情報発信を始める
現在にいたる
学童保育における保護者対応とは?
ニックさん今回はコラボさせていただきありがとうございます
所長さん、こちらこそです!ありがとうございます!
所長:
今日のテーマは学童保育の保護者対応ですよね。私の経験にもとづいて、できるだけわかりやすくお伝えできるようにがんばりたいと思います!
インタビューにお答えする前に、一つよろしいですか?
はい、なんでしょう
僕、あんまり保護者対応に自信ないんです
え?そうなんですか?
お迎えに来た保護者なんかにサッと子どもの様子を話したりするのがすごい苦手です(冷汗)
その日の出来事の記憶を呼び起こすのに時間がかかってしまって、「今日も暑かったですね~」とか言うのが精一杯なんてこともざらにあります。
なので、今日は、
- 新人の皆さん、心配しなくても大丈夫ですよ
- こんな僕でもできてるから、皆さんもできますよ
このような気持ちを込めてお話させてもらいます。
気楽に聞いてくださいね。ぜひよろしくお願いします。
保護者対応とは「保護者とのかかわり全般」のこと
ーー 保護者対応とは、どんな時にどのようなことを行うのでしょうか。
所長:
保護者対応ってすごく幅広いですよね。
例えば、
- あいさつ
- 言葉づかい
- 身だしなみ
このような基本的なことから始まって、
- 怪我やトラブルのさいの家庭への連絡
- おたよりの発行
- 懇談会の開催
- 保護者会との協働
上記にいたるまで、保護者とのかかわり全般をひっくるめて、今回は「保護者対応」としてお話しますね。
保護者対応の目的は「子育てと仕事を両立できるように支援する」こと
ーー 保護者対応の目的は、どのようなことでしょうか?
所長:
保護者が、子育てと仕事を両立できるように支援することが保護者対応の目的です。
そのためには、支援員と保護者が信頼関係で結ばれ、
保護者が安心して学童を利用できること
上記が重要になります。
保護者対応は「子どもの最善の利益」がポイントになる
ポイントになるのは「子どもの最善の利益」です
子どもの権利を尊重し、
子どもの最善の利益を考える大人の輪を、保護者と支援員で作っていくこと
これも保護者対応の目的だと僕は考えています。
子どもの最善の利益とは?
「子どもの権利条約」第三条に記載されている子どもの権利。
子どもの権利を守っていくための前提となる原則(一般原則)の1つです。
子どもに影響を与えるあらゆることについていろんな可能性を検討して、子どもにとって一番よいことが何かを考えなければなりませんよ、というのが第三条です。
子どもの権利条約を学童保育に活かすより、抜粋
保護者対応って結構大変な時もあるでしょ?
やってるうちに
- 子どものためなのか
- 保護者のためなのか
- 職員のためなのか・・・
なんだかわからなくなってしまう時もあるんです。
保護者対応の目的は「大人の最善の利益」ではありません。一番は子どもです。
そこはブレずに持っておきたいですね
保護者と指導員は「子育てのパートナー」
ーー 学童保育において、保護者と指導員はどのような関係なのでしょうか?
所長:
僕は最初に保護者運営の学童保育所に就職したんです。
そこでは、保護者は利用者であると同時に僕の雇用者でした。
所長も保護者だったし、保護者から学童保育のイロハを教わりました。
そのため、
保護者と支援員は「子育てのパートナー」として協働する
という考えが自然と染みついています。
社会福祉法人の運営する施設に異動して、保護者との関係性は変わりましたけど、保護者をリスペクトする気持ちはずーっと変わらず持ち続けています。
いつも思っていることは、学童の支援員は、学校の先生とはまた違った距離感で、子どもの成長や家族の生活を支援することができるということです。
ここに、学童保育ならではのやりがいや可能性がある
と、思っています。
学童保育における保護者対応の重要性
ここからは、学童保育における保護者対応の重要性について尋ねていきます。
保護者対応は育成支援の超重要な内容の一つ
ーー 保護者対応は重要ですか?理由も含めて教えていただけますでしょうか?
所長:
放課後児童クラブ運営指針には
放課後児童クラブは、常に保護者と密接な連携をとり、放課後児童クラブにおける子どもの様子を日常的に保護者に伝え、子どもに関する情報を家庭と放課後児童クラブで共有することにより、保護者が安心して子どもを育て、子育てと仕事等を両立できるように支援することが必要である。
放課後児童クラブ運営指針より抜粋
と書かれています。
また、
子ども自身への支援と同時に、学校等の関係機関と連携することにより、子どもの生活の基盤である家庭での養育を支援することも必要である。
放課後児童クラブ運営指針より抜粋
とも書かれています。
保護者との連携や家庭の子育て支援は、学童支援員が行う育成支援の超重要な内容の一つなんです。
お迎えのときは、子どもとの遊びを中断しなくてもOK
ーー お迎えの際、子どもとの遊びを中断してでも、保護者対応をしたほうがいいのでしょうか?
所長:
保護者のお迎えって、子どもの遊びのタイミングと関係なくやってきます。子どもが
え~!(迎え)早すぎ!
って文句を言ったりすることもありますよね(笑)
子どもとの遊び・・・中断しなくてもいいんです。
遊びながら
あ、お帰りなさい
と言うとか、
それも難しかったら「お疲れ様」という気持ちを込めて目線で会釈するとか、
保護者の存在を認識していますよ
という気持ちを伝えるようにしています。
遊びを中断しなくてもいいんですね
いいと思います
ただし、一人ひとりの保護者は、仕事の状況や性格・考えが様々です。
お迎え時に子どもの遊びを見たい人もいれば、夕刻には気持ちが急いている保護者もいます。
なので、タイミングを見計らって遊びを早めに切り上げるよう促すことはありますよ。
付き合いが長くなるにつれて、それぞれの保護者の状況や性格なんかも見えてきますよね。
所長さんの実体験|失敗事例と成功事例
ここからは、所長さんの実体験について伺っていきます。
【実例】お母さんがカンカンで怒鳴りこんでこられた
ーー 保護者対応で、失敗してしまった経験があれば共有していただけますか?
所長:
山登りの遠足の当日の朝に、お母さんがカンカンで怒鳴りこんでこられたことがありました。
理由は、数日前の子ども同士のトラブルだったんですが、そのお母さんは、手を出した方の子どもの保護者だったんです。
なんで、うちに連絡がなかったんだ!
って、子どもが集合してすごくバタバタしている時間帯に30分くらい怒られました。
僕はすごく動揺していたようです。山の上について足元を見て初めて、自分が上履きを履いたままでいることに気付きました(笑)
【実例】職員の心情を思いやってくださった保護者さん
ーー 保護者対応で、特に印象に残った体験があれば共有していただけますか?
所長:
僕が所長になって間もない頃に、1年生の女の子が、遊びの最中に大けがをしたことがあったんです。
まだ学童の生活に慣れていない時期の怪我だったことや、職員が一緒に遊んでいた中での怪我だったことなど、施設側に反省すべき点がいくつもありました。
そのためご家庭にお詫びに伺うことにしました。
実は、怪我の発生時に子どもと一緒に遊んでいたのは大学生の職員だったんです。
職員の指導や配置は施設長である僕の責任なので、彼女のせいだと思う気持ちはありませんでした。
しかし、彼女自身が自分の責任を痛切に感じていたんですね。
それで、家庭を訪問をする時に
よかったら一緒に行きますか?
と声をかけてみたんです。
彼女は
行きたいです
と言ってくれました。
保護者には、まず僕からお詫びや今後の対応について話をしました。
その後、彼女は、涙ながらに
自分がもっとちゃんと見ていたら・・・
という思いをお母さんに伝えました。
その後のお母さんの言葉は忘れられません。
僕は施設側の不行き届きを指摘される覚悟でいたのですが、
お母さんは、彼女に向かって
大丈夫でしたか?血がいっぱい出て怖かったでしょう?
と言ってくださったんです。
僕がこの言葉を額面通り受け取って、それで安心したというお話しではありません。
僕はこの時、
- 1年生の保護者であるお母さんのショックな気持ち
- 学童の生活への不安や心配
- もちろん怪我をした子どもが痛かったこと
- 怖かったこと
上記のような、様々な気持ちを感じていました。
それだけに、お母さんの言葉が胸に突き刺さったんです。
親という存在や子育ての営みについて、深く考えさせられた出来事でした。
ちなみに、その時の職員は大学卒業まで勤めてくれて、今は中学校の養護教諭として頑張っています。
メディアでは、保護者対応の極端な事例ばかりが取りあげられますが、僕はこの仕事を続けてきた中で、
- 素晴らしい保護者
- 立派な保護者
- 尊敬できる保護者
このような方たちと、たくさん出会ってきました。
そのことは、今日一番お伝えしたかったことの一つです。
そのような保護者と出会うたびに、自分は人間としてまだまだだ、と思わせてもらい、そんな保護者の思いに応えるためにも、
自分はもっともっと支援員として成長したい、しなくてはいけない
このように思い、これまでやってきました。
【実例】不信感でいっぱいの目をした厳格なおじいさん
ーー 保護者対応を通じて保護者さんが変わられたというようなエピソードはありますか?
所長:
そうですね。僕は保護者を変えるというより自分が変わるというようにいつも考えるようにしています。
けれど、こんな話がありました。
おじいさんが、子どもの送り迎えをしているご家庭があったんです。
お母さんはシングルマザーで仕事も忙しく、おじいさんが娘の子育てを手伝っていたんですね。
おじいさんは厳格な方で、最初、我々支援員とは口も利かず、「なんじゃこいつら」という不信感でいっぱいの目をしていました。
当時僕は茶髪で、短パンにTシャツというスタイルでしたので・・・。
そんなある日、ちょっとした事件がありました。
その家庭の子どもが、学童から帰宅後に行方がわからくなってしまったんです。
おじいさんからの連絡を受けて、我々支援員も自転車で一緒に捜索しました。
結局、その子は友達の家で遊んでいたことがわかったんですけど。
その一件以来、おじいさんの支援員への態度がガラリと変わりました。
たくさん話しかけてくださるようになったんです!
僕たちは、おじいさんから「こいつらは、いざという時は必死で協力してくれるやつらじゃ」と認められたんですね。
その後おじいさんは、非常に協力的な保護者の一人となって、合宿や様々な行事に積極的に参加してくれるようになりました。
合宿の夜の保護者の飲み会では、他の保護者からも「じいじ」と呼ばれ慕われて、とても楽しそうに過ごされていましたよ。
最初、おじいさんは孤軍奮闘で娘の子育てをサポートをしていて、信頼できる協力者がまわりにいなかったんです。
けれど、おじいさんは学童と出会って、おじいさんにとっても学童が居場所になっていったんです。
それが子どもにとってもいいことだったのは、言うまでもありませんよね
職場の文化として醸成していく、学童保育の保護者対応
ーー これらの経験が、学童保育の指導員としての所長さんにどのような影響を与えたか、教えていただけますか?
所長:
僕はこれまでの経験を通じて、
- 子どもに
- 保護者に
- 学童保育の仕事に
真面目に、一生懸命向き合う姿勢が大切だ、と感じてきました。
保護者対応にはテクニックも必要だと思いますが、多少口下手とか人見知りとかでも、職員の誠実さは必ず伝わるものなんです。
それで、職員の誠実さは、個人の資質というよりは、
職場の文化として醸成していくべきものだ
このように、思っています。
僕は先輩たちの対応から、
- 子どもの権利の尊重
- 働きながら子育てする保護者に寄り添う気持ち
このようなことを学んできました。
上司や管理者にあたる職員の皆さんには、そういった背中を若手にたくさん見せてあげてほしいと思います。
なんかかっこいいこと言いすぎている気がしてきましたね。ちょっと恥ずかしいです。
実際の僕は、いっつもおろおろしてばっかりなんですけどね・・・。同僚の支援員に助けられてばかりです。
学童保育における保護者対応のポイント
ここからは、学童保育における保護者対応のポイントについて、インタビューをさせていただきます。
保護者と良好な関係を築くポイントは、子ども理解
ーー 保護者さんと良好な関係を築くためのポイントや、心がけていることはありますか?
一番のポイントは子ども理解ですね!
所長:
何と言っても、子どものことをしっかり見ている支援員のことを保護者は信頼します。
保護者の顔色ばかり見て、子どもとかかわらないような職員は、保護者もちゃんと見抜いていると思いますよ。
日頃から職員間でわかりやすく伝え合うと、保護者にもうまく伝えられる
ーー 伝え方がうまくなりたいです。どうしたらうまく伝えられるようになりますか?
僕は新人の頃は、電話連絡の前に台本を書いたりしていました(笑)。めっちゃ緊張しますよね。
所長:
保護者に子どもの出来事を的確に伝えるためには、まず、日頃の打ち合わせなど、職員間の伝えあいでしっかりと報告できるようになることです。
うちの職場では、職員間の報告などでも
- 今のはわかりにくかった
- もっと詳しい状況は?
- そこに至る経緯は?
このように、日頃からお互いにツッコミまくっていますね。
逆に、「今の伝え方はすごくよかった」「わかりやすかった」なども言います。
何を伝えるかも重要です
「ヒヤリハット」に対して「にやりホッと事例」などと言いますが、子どもの
- 面白エピソード
- 愉快な失敗談
- ホッとする一コマ
- 子どもの成長を感じた瞬間
これらを日頃から職員でたくさん交流して、保護者に伝えたいエピソードをストックしておくとよいですね。
大人だって「みんな違ってみんないい」
ーー 保護者さんとのコミュニケーションや信頼関係構築に関して得た、重要な教訓や気づきはありますか?
所長:
保護者の中にも、コミュニケーションが得意な人とか苦手な人とか色々いますよね。
中にはすごいキツイ言い方をする人とか、いつもツンツンしている人とか・・・
子どもだったら
みんな違ってみんないい
このように思えるんですけど、相手が大人だったらそうは思いにくいですよね・・・
けれど、やっぱり大人だって「みんな違ってみんないい」なんです。
我が子への愛情の示しかたがそれぞれでも、愛情は愛情なんですよね~。わかりにくいこと言ってます?
、、わかります。たまに「あの子は愛情不足ね」なんて聞くことも…でも親の愛情はある
表し方が異なるだけなんですよね今の社会って、子育てする保護者には大変厳しい社会です。
様々な苦労を抱えながら、保護者は精一杯子育てをしています。
表面的な言動に戸惑うことはあっても、その奥にある「我が子を思う気持ち」を見つけられる支援員でありたいと思います。
それと、保護者対応が上手くいかないケースのほとんどは、こちら側の説明が不足している時です。
ある保護者にはそれでわかってもらえたけど、今回の保護者は同じ説明ではわかってもらえなかった。
このような場合だったら、
どうやったらもっとうまく説明できるだろうか・・・
と考えて、職員側が変わる努力をしていく。
フィードバックと改善を繰り返す中で、個々の支援員の力量や職場のチーム力が高まっていきます。
完璧な支援員ではなく、親しまれる支援員を目指そう
ーー 学童保育の指導員として、長い間にわたって保護者と信頼関係を構築・維持されている所長さん。その秘訣や心得を教えていただけますか?
所長:
ちょっと話が変わるんですけど、僕は、学童が子どもが失敗できる場であることを大切にしたいと思っているんです。
そのためには、支援員にとっても学童が失敗できる場である必要があります。
だから、一生懸命やって、それで失敗しても全然OKなんです。
僕もそうなんですけど、しっかり、きっちりし過ぎている人と付き合うのって緊張しませんか?
おっちょこちょいの支援員とかって、保護者もホッとする存在だと思うんですよね。
完璧な支援員を目指すのではなく、親しまれる支援員を目指そう
それが秘訣ですかね~。
もちろん、仕事への誠実さと失敗を糧とする心意気は必要ですよ。
職員が働きやすい職場をつくっていくことも、保護者対応につながっていきます
職員がコロコロと入れ替わる職場では、保護者と支援員の信頼関係が築けないですよね。
以前、保護者の一人から
先生たちいっつも楽しそう。私もこの学童で働きたいわ
と言ってもらったことがあります。
最高に嬉しかったですね。
学童保育の保護者対応についての注意点
ここからは、保護者対応についての注意点を伺っていきます。
指導員の言い分を100%は伝えられない
ーー 学童保育の指導員として、保護者さんとのコミュニケーションにおいて注意すべきポイントはありますか?
こちらの言い分を100%は伝えられないってことは注意しています
所長:
コミュニケーションですから、相手の言いたいことやその場の流れがありますので、自分が口下手なのもありますけど・・・。
50%くらい伝えられたらそれでよし、続きは次回で!って感じて割り切っています。
ICT化への対応も求められる
ーー 所長さんの学童クラブでの保護者対応で、課題だと感じておられる点や改善の余地を感じる点はありますか?
所長:
ICTの導入やオンライン化など学童現場が急速に変わっています。
保護者の職場も同様だと思います。
結果として、効率的でスピーディーなコミュニケーションが求められるようになったと感じています。
こういった社会の変化に対応していくことも学童保育の課題です。
私の職場でも懇談会がオンラインになったり、動画配信サイトで子どもの動画を限定公開したり、新しい取り組みを進めています。
まだまだ試行錯誤の段階ですけどね~。慣れてないのでめっちゃ大変です。支援員たちも苦労しています。
保護者対応の具体的な手順について
ここからは、保護者対応の具体的な手順について伺っていきます。
ーー それぞれの場面で、どのような保護者対応をしているかを共有していただけますか?
お迎えのとき
所長:
できれば、その日の子どもの様子を伝えたいと思っているのですが、保護者も忙しい時間帯ですので、無理はしません。
むしろ、まんべんなく声をかけることを大切にしています。
最近会話をしていない保護者に、積極的に話しかけるとかは気をつけています。
特定の話しやすい保護者とばかり対応しているというのは、イマイチかもしれないですね
ケガ、病気、トラブルのとき
所長:保護者には、
- いつ
- どこで
- 何をしている時に
- だれ(とだれ)が
- どうなった
- 応急手当の内容・解決の過程
- その後の様子
上記を簡潔に伝えるようにしています。
また、怪我やトラブルの深刻度に応じてメール・電話・対面など伝える手段も変えるようにしています。
保護者懇談会のとき
所長:
懇談会は子どもたちの様子の報告を通して、施設や支援員が大切にしていることを保護者に伝える大切な機会です。
言葉による説明だけでなく、写真や動画で子ども達の活き活きとした姿を伝える工夫をしています。
動画編集などはとても大変ですが、保護者には評判です
懇談会を通して保護者同士の繋がりを作ることも大切にしています。
保護者の発言の時間を毎回必ずとるようにしていますし、同じ悩みに共感しあったり、先輩保護者がアドバイスをしたりすることって、ものすごく大事だと思います。
あと、支援員の人柄を伝えることも大切にしているかな
懇談会で特技を披露したり、プライベートな話を交えたり・・・。あ、中心はあくまでも学童での子どもの様子ですけどね(汗)
少し話が変わるんですけど、4月のおたよりの職員紹介で、職員の写真と合わせて、
- 趣味
- 好きな曲
- 好きな映画
- 好きな芸能人
などを載せているんですけど、ああいうのっていいですよね。
個人面談のとき
所長:
個人面談はこちらからお願いする場合と、保護者から相談を受ける場合と2パターンありますが、どちらの場合も、保護者の話を「聴く」ということを大切にしています。
個人面談ですべて解決するというよりは、面談をきっかけにその後お互いに相談しやすい関係を作ることを重視しています。
ある保護者のケースでは、1年生から3年生まで、ずっとこちらの言いたいことを我慢して保護者の言い分を否定せずに聴いて、4年生になってやっと支援員の話を半分くらい聴いてもらえるようになりました。
行事(保護者参加)のとき
所長:
小学校のように参観日などがない学童保育も多い中、行事は、学童での我が子の様子や、子ども集団の雰囲気などを保護者に見ていただける貴重な機会です。
そんな中で僕が意識しているのは、
- 保護者に頼る
- 保護者の出番となるシーンを作る
ということです。保護者をお客さんにはしません。
子どもたちにも見てほしいんです。学童の保護者のパワーとか保護者がみんなで楽しんでいる姿とかを。
そういった大人の姿を見て、子どもたちは学童を居場所と感じ、安心感を深めることができると思うんです
クレーム対応のとき
所長:
クレームは職員にとっては辛いですよね。なんだか日頃の努力や苦労が否定されているような気になってしまって、落ち込んでしまいますよね・・・
けど、本当に辛いのは保護者のほうなんです
自分の中で消化することに比べて、施設に要望する方が精神的なエネルギーを消耗します。
そういった労力を払って保護者が伝えようとしたことについて、しっかりと受け止める必要があります。
今の時代、保護者の価値観はものすごく多様になっています。一生懸命やっていても、クレームを受けることもあるでしょう。
保護者のクレームは、いつだって施設や支援員の成長のきっかけとなるんです。いや、成長のきっかけとしなければいけません。
そのためにも、クレーム対応で必要なのはその場しのぎの上手な受け答えではなく、具体的な改善策です。
最後に、保護者対応はチームプレーです。
中には、保護者自身が重大な困難を抱えているケースや、児童虐待などの深刻な事例と遭遇することもあります。
そんな時は絶対に1人で抱え込まず、必ずチームで相談してください
職員チームでも解決できない場合は、小学校やその他機関と連携することで、解決の糸口が見つかるはずです。
おすすめの書籍、記事の紹介
ーー 今後の学童保育指導員としての成長に向けて、保護者対応のスキルを磨くためのおすすめの方法や、書籍、記事などがあれば教えていただけますか?
所長:
学童保育に特化した保護者対応の書籍って、あんまりないんです。保育園や小学校向けの書籍も、とても参考になりますよ。
僕のブログを読んでもらえると嬉しいです!
学童保育で発生した、怪我やトラブルの時の対応などをまとめています。
まとめ:究極の保護者対応とは
最後に一言
これまで学童保育の仕事を続けてきて、これだけは間違いないと思っていることなんですが、保護者は子どもが信頼している支援員のことを信頼します。
子どもが大好きな支援員のことを、保護者は信頼します。
なので、究極の保護者対応は、
- 子どもとしっかりかかわって
- 1人ひとりの子どもを理解し
- 子ども達が安心して学童で楽しく過ごせるようにすること
これに尽きると思います。
今日はありがとうございました。いや〜、インタビューって難しいですね。なんかカッコいいことばかり言ってた気がします。 同僚には読まれたくないですね。 「どの口が言っとんね〜ん!」って絶対つっこまれます。
同僚さんに、つっこまれちゃいますかね(笑)でも、その関係性も楽しげで素敵だなぁ
所長さん、インタビューにお答えいただきまして、本当にどうもありがとうございました。
インタビューを通して、所長さんの誠実さや勤勉さ、保育の考え方や静かな熱意がビシビシと伝わってきました。
体験談もたくさん共有していただき、共感できることばかり!
山登りの上履きのお話では、思わず笑ってしまいました(笑)
学童保育の関係者であれば、所長さんが運営されている「がってん!学童」を、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
学童のことを検索すると、がってん!学童さんの記事が、よく上位に出てきます。
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がってん!学童さんの記事には、学童保育で働く指導員のリアルな悩みや、学童でよりよく働くためのヒントがたくさん掲載されています。
保護者さん向けの記事もありますので「学童保育に携わる方」は、ぜひ訪れてみてくださいね。
\ 学童関係者の必見サイト /
追伸:インタビューを受けてくれる学童保育の指導員さんを募集しています
この記事を読んで良かった!
役に立てるなら、協力したい
上記のように思ってくれる学童の指導員さんがいましたら、ぜひインタビューさせてください。
とはいえ、
自分にできるかなぁ…
タメになることなんて言えないよ…
このように感じる方も多いでしょう…
大丈夫です!ご安心下さい!!
学童で働いて得た知見はもちろんですが、
- 仕事がきつくて悩んでいる
- 学童保育の仕事がつまらない
- 学童保育の指導員を辞めた経験
- 学童保育の採用面接で合格した体験談
- 給料が低くて生活が大変…
上記のような体験や悩みを、ぜひ教えて下さい。
あなたの経験が、「これから学童保育で働こうか迷っている人」や「同じような悩みを抱えている指導員」の力になります!
ご協力いただける方は、ぜひ、X(Twitter)よりご連絡をお願いいたします
インタビューは、X(Twitter)のDMで行っています。
対面や電話でのやりとりはいっさいありません
回答期限などもありませんので、あなたのペースでご協力いただけましたら幸いです。
学童保育で働いた経験があれば、常勤指導員・アルバイトさん・パートさん、みんな大歓迎です。
ここまで読んでくださった、熱心なあなたからのご連絡を心よりお待ちしています
\DM・リプ欄からお願いします/
リピーターさんも大歓迎です😁
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